本10:タルト・タタンの夢
あらすじ
小さなフランス料理屋「ビストロ・パ・マル」。シェフを務める三舟は、侍のような風貌をした変わり者。
他にも、副料理長の志村、ソムリエ 金子、ギャルソン 高梨が揃い、お店を盛り上げる。小さいお店ながらも料理の評判は良く、常連客も着くほど。
お客の中には、悩みを持つ物やちょっとした事件を起こす人も。
そんな時、シェフ三舟たちの鋭い洞察力で解決に導くという、ミステリーとグルメを掛け合わせた小説。
感想
読むきっかけは、先日投稿した本9:サクリファイスの作者(近藤史恵さん)が書いた本だった事。
グルメ・ミステリーに興味がある訳では無かったが、普通に楽しめた。
良かった点は、まず作中の料理描写が秀逸な所。思わずお腹がなる。フランス料理を良く知らない自分でも容易にイメージ出来る描写で書かれている。
これは、著者の手腕が大きいと思う。
もう一つ、小さな店だからこ客との距離感が近く、暖かさの感じるやり取りが多かったのも好印象。
お腹いっぱいの客への気配りの声掛け、食後のデザートをなじみの客向けへアレンジといった所作は、自分が身近で体感したような錯覚を生み、ビストロ・パ・マルに愛着を生む。
日常でこんなお店があったら行きつけにしたいなと思わせる、そんな魅力を感じた。
ヴァン・ショーをあなたに (創元推理文庫)
posted with amazlet at 16.09.25